読書:星新一 YAセレクション 夜の侵入者「公園の男」
星新一さんのお話が好きです。
星さんを知ったのは、昨年の6月。突然の出会いでした。
何気なくgoogleの検索バーに「おーい」と打ってみたら、
一番上に「おーいでてこーい」というフレーズが。
『 「おーいでてこーい」? これはなんだ、気になる。。。 』
それはどうやら、以前NHKで放送されたアニメーションのようでした。
さっそくアクセス。
一目で落ちました。久しぶりに、どっぷりハマりそうなアニメを見つけて興奮しました。
こういう、オープンクローズというか、見る側の感性が試されるアニメは大好きだったのです。物語の解釈が人によって変わるというか、変えられるというか...
ちなみに「おーいでてこーい」で私が感じた事は、
『悪事は後々にツケとして帰ってくる。ただし良い事も同じく』
『今の大人の尻拭いは、未来の子供達。』です。
この作品に出会ってから、その他の動画を探したり、星新一さんの本を図書館に行って借りるようになりました。
児童コーナーにあるので、小さい子たちに混じって本をあさっていました。本に年齢はありません。
「YAセレクション 夜の侵入者」
YAの略はもしかしてYoung Adult、ちょっと青年向けという意味なのかな、、、?
それまで読んでいた「ショートショート集」よりはお話や設定が大人っぽかったような気がします。
短編10作品ほどありますが、私は特に「公園の男」の話が気になりました。
ちょっとだけストーリーを書くと、
「公園の男」
主人公の青年が行きつけの公園である日いつものように読書をしていると、ある男が現れた。これが「公園の男」。
その男は全く特徴のない風貌で、過去の記憶も自分の名前も無いんだけれど、「ある場所」に行き「ある事」をやらなきゃいけないという事だけは分かっていた。不思議な人。
青年は、その男の話を聞くうちにどんどんその男の魅力に引込まれて、自分もその場所に一緒に行ってみたいと言い出した。
その場所とは、踏切。
そこで2人で待ってると、後ろからもう一人知らない男性が走って来て、遮断機が下りた線路を抜けようとしたんだけれど、ちょうど電車が猛スピードでやって来てその男性を轢きはねてしまった。男性は瀕死。もう助からない状況だった。
すると、その男が男性に近づいて、なんと自分に取り込んでしまった(男性になりきってしまった、と言うほうが正しいのかも)
つまり、その男の役目は、男性が亡くなる予定の踏切で待ち、男性が亡くなったら自分が男性になり代わって、その後の男性の人生を生きていく、という事だった。
青年はもちろんおどろいて、後日改めてその男を訪ねて、「その後生活になじめてますか・・・?」と聞いたら、事件の直後は青年の事をおぼえていてくれ話もしてくれたが、もう一度訪ねた時には青年のことは忘れていた。
その男はすでに、完全に亡くなった男性になりきって生きていた。
そして、このストーリーの締めが
それから青年は、他人を注意して眺めるようになった。時たま、地味で、なんの特徴もなく、平凡きわまる人をみかける。目をそらせたとたん、印象が消えてしまうような人だ。
その度に思う。たぶん、いつかの人とおなじような役目を持って存在しているのだろう。そして、だれかのあとを引きつぐのだ。なにによって、どこから派遣された要員なのか知りようがないが、あの連中のおかげで、世の中の不幸がこの程度でおさまっているのだろう。常識で考えてみれば、普通だったら、もっともっと悲惨なものであるべきなのかもしれない。
というものだった。
ここを読んで、
ゾワゾワゾワゾア...
なんだこの結末。。。
でも、もしかしたらほんとうにそうなのかもしれない、そういうことが起きているのかもしれない、と不気味というか感動というか、良くわからない感情がこみ上げた。
世の中の常識からはなれるというか...
へんてこりんというか、オカルトちっくというのか...
こんな考えさせられるラストとは思っていなかったので、衝撃を受けた。
でも、こういうへんてこな仮定の話は、ほんとうに大好きだ。
こういう話はもっと読んでみたい。
この話が好きになってしまって、本当はいけない事だが自分の携帯で1ページずつ写真を撮って保存をした。
いつでも、また読みたくなった時に読めるように。
今日もまた、新しい星新一さんの本を借りた。
またこれも読んで、星新一ワールドにどっぷり浸かりたいと思う。
星新一ちょっと長めのショートショート〈4〉とんとん拍子 (星新一ちょっと長めのショートショート (4))
- 作者: 星新一,和田誠
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2006/01
- メディア: 単行本
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